「教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 4時間目」売れる売れないが目に見える残酷さ、しんど

★★★★☆,MF文庫Jお仕事,ロリ,現代

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 4時間目

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あらすじ

「わたし、作家デビューが決まりました」
――衝撃的な星花の告白を受けて、塾講師・天神は、冬燕と一夜の過ちを犯した。
それはさておき、作家・天神は、自分が同業者であることを隠して出版社の受賞パーティーをやりすごそうとする。
だが、彼の前に新たなJCが現れて……?
「――ヤヤは神です――ヤヤの才能を信じなさい――」
「か、神を僭称するだなんて、悪魔なわたしへの挑戦ですか!?」
……違うと思うぞ。
光と影のJC作家二人に内から外から責められて、天神の作家業は一つの転機を迎える――。
恋する教え子×冷ややか先生で贈る年の差ラブコメ第四弾! 悪魔と天使と、神様か……。

今回は塾講師じゃなくてラノベ作家側としての話。

才能の残酷さがめっっっっちゃしんど。
同じ『女子中学生作家』としての話題性目当て部分もあって同時に受賞デビューとなった星花とヤヤの落差の描写が積み重なってあまりに残酷だったし、そして単純に『話題性』が故の売れなさとかじゃなくて、『面白くない』『他人を見ていない』という物語部分、『キャラクターを描けていない』といった才能部分でのドデカ落差が数字として現れたっていう結果が酷く残酷だった。
書店にサインのために行ったときに、ヤヤの本は山積みだけれども星花の本は何もないシーンのしんどみがすごい。数値だけで聞いたり、打ち切りをただ編集者に言われるのの何倍も、目の前に物量の差として表されたほうがしんどいし絶望が襲い来る。星花が喜んでるのは当然で、自分の作品が売れているとなったら嬉しくてたまらなくて普通。中学生だから隣のヤヤの心情を慮れなくても当たり前。なのがわかるからこそ読んでてしんどかった。

売れないのがヤヤばかりじゃないのがまたしんどい。
ヤヤは読者のほうを見ておらず、全部作者の分身みたいな状態だから面白くない。でも、4巻まで出るはずが3巻打ち切りを食らった天神は、読者のほうを見て売れる方向を考えて書いたのに売れずに打ち切りだ。何をすれば売れるっていうのなんて無いんだよなあ。
星花は、1巻で天神に読ませたときは完全に独自設定ゴリゴリクソ読みづらい自分のことだけ文章だったのに、今回はある程度読者のほうを見ているか、作風と文章がとにかくめちゃくちゃ合っているか、とにかく何かがウケて売れた。何があたるかなんて本当に全然わかんない。
星花がネット受賞でヤヤは応募作大賞受賞ってことは、出版社的にはヤヤをJC作家として大売り出ししたくて、ついでに同じくJCとして星花を(猛プッシュする編集者もいるから)選んだぐらいだろうから、出版社的にもかなりウケが予想外だったろうな。書店で本が全部売り切れてたの、初版部数の違いも関係してない?

最後の最後で、墓掘りになんでヤヤに付き合ったげてるのと問われたときに天神が「塾講師だから」を掲げたのがすごい好き。この人、やっぱり基本的に教えを請われたら教えようとしてしまうし、誰かを助ける事自体が好きなんだろう。
ラノベ作家なだけじゃない。塾講師だからこそ、社長や墓掘りと違ってヤヤと関わっていられた。社長はヤヤが他人を面白がらせるために書いてないとわかった時点で先生呼びもやめて完全に切り捨てた。あれは社長がそれだけラノベに真摯な人だから、ラノベを他者を楽しませるものとしていないヤヤをラノベ作家と受け入れられなかったから。でも天神がそこで見捨てないの、塾講師だからで、この人が塾講師で良かった。

ところで星花、天神を構いに行けないし天神がヤヤとずーっとじゃれ合ってるのにも気付け無いぐらい忙しいから相当ヤバ担当と当たったんか?と思いきや、最悪に相性が良すぎるヤバ担当で笑ってしまった。いや、この先24時間働けますかを食らってヤバが発覚するのかもしれんけど、勢いとノリに笑ってしまった。

あとヤヤの姉は日向ちゃんかな。片付け下手ってあたりで。ヤヤの本名も出てないし。

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