「狂犬従者は愛されたい」突っ込み属性ヒロインが清々しくて強い

★★★★☆

あらすじ

――ちゃんと俺を見て。もう子どもではないんです。

圧政を敷く父に反旗を翻し、帝国を打倒した皇女ライネリア。
その後は独り静かに隠居暮らしをするはずが、ある事情で7歳年下の少年ウルリヒを養うことに。
感情が薄く、小鹿のように細く小柄な彼。守らねばと思うライネリアだったが、それから約8年、彼は筋骨隆々のヒグマのような大男に成長していた!
一人前の男になった彼を見て、子離れせねばと思うライネリアだが――。
「愛の押し売りに来ました」
獰猛な目をしたウルリヒに、寝室で突然迫られて……!?

年下番犬従者×鈍感アラサー(元)皇女、養い子の激重な想いに囚われて――!?

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いや全然狂犬じゃないじゃん。めっちゃ冷静に事をなしてるじゃん。
愛の押し売りどんなんかと思ったら全然押し売りはできてないじゃん。定価で買ってもらってるようなタイプじゃん。

いやーーー面白かった。ヒロインがツッコミ属性で、腕力は高いが脳筋ではないという塩梅がすごく良かったし、ヒーローが昔っから虎視眈々と狙ってきたわんこなのが良かったし、終盤のどんでん返しというか驚かせと言うかそのあたりも全部良かった。すごい好きだなこれ。

「可愛い」
「しばくわよ」

「やめなさい、ばか! 嗅ぐな!」
「いい匂いです」
「訊いてないわよ!」
「愛しています、ライネリア様」
「愛は免罪符にはならないからね!?」

このテンポで行われる二人の会話がすごく良い。引用が憚られるからアレなんだけど、挿れる挿れないのやり取りしてるところも可愛かったよ。騙されないで姫様。騙されないで。
片方は前の国王であり父を殺して排して革命を起こした女傑姫、もう片方は彼女に救われたという恩があるというのを盾にとって彼女の執事ポジションに潜り込んだ片思い歴ウン年、他の使用人たちからも応援されている青年。
この二人が、軽快なテンポでじゃれ合いながらお喋りしつつ、わんこ従者が好き好き!しているので可愛いし楽しい。

ヒロインの能力の高さが良いんだよな。
清廉潔白と他者から言われるも、それが言葉だけじゃなくて性格や行動にも現れている。父王を弑した部分が最も大きいけれども、それ以外のシーンでも豪胆ですっきりしていて、良い意味でのサバサバ系ぽさがあって、読んでて好感が持てる。
腕力筋力の能力も高く、そこらの男と同じだけの身長があり、男と殴り合いして恐らく勝てるぐらいに強い。

ただ恋愛関係は自ら意図的に身を引いている。怪我で子供を埋めないと公言しているし、年も30近いからそういう対象ではないだろうと言い切っている。
そんな彼女を、わんこ従者が好き好き!してるのが本当に良いんだわ……。
中盤絆された従者とヒロインで、手にべたべたのパン生地がついてるだけで可愛いだの、あーんして相手が口を開けるのが可愛いだの、そういう甘ったるさでこっちが死ぬようなじゃれ合いをしているのがもうひたすらに可愛いんだわ。

わんこ系従者も、今までずーーーーっと異性として見てもらえなかったが故にその特権利用して服着せてやったり入浴介助したりとかなり良い目にあっているし、異性として認識されたらされたで相手の恥ずかしがるところを見れておめでとう!状態だった。
彼自身も頭の良さあり、能力ありと良いと良いキャラなんだよな。
私は彼とエスの関係性が若干詳しく気になりますが……というかエスみたいな男が脇役に出てくると絶対にツボるからやめてほしい。

姫様の能力の高さ故にやばいことになってもまあ大丈夫だろうなと思えたり、全然囚われの姫様状態にならなかったりと諸々面白かった。強い女性好き。
終盤では自分の信じていたものや大事だったものを折られるのも含めてすごく好きな話だった。
片方から見た物事と、もう片方から見た物事(姉弟周り)が全然違うの、すっごくツボだった。面白い話だった。

現状王様含めてもっと泥沼化するのか?と思いきやそっちもそっちでかなり綺麗に(?)処理されてるし、物語として面白かったー!

戦争遺児や革命など、何かしら元ネタにしているものがあるのかな? とちょっと思ったしもしあるとしたら知りたいんだけど残念ながら私は世界史の知識がないので全くわからない。

ところでソーニャ文庫ってなんとなくヤンデレとか執着とかの薄暗くて湿気が高いタイプの話が多いレーベルだと思ってたんだけど、狂犬従者といい呪いの王といい、カラッとした話が連続であたってちょっと驚いてる。どっちも女は強しみたいな話じゃん。前に読んだときはもっとじっとりしてるのが多かったんだけどな。時代が変わったのか引きが良かったのかはわからない。

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