「転生者の私に挑んでくる無謀で有望な少女の話 2」前世を覚えている人たちの日常

★★★☆☆

あらすじ

ティフィーはコスタスとソフィの娘、初等部6年生。
彼女にはユキとカスミという親友がいた。
ユキは互いの両親が中等部時代からの友人同志、カスミは初等部の低学年からの同級生。
三人は変わり者の友達同士、和気あいあいと学校生活を過ごしていた。

そしてティフィーにはライバルがいた。
同じピアノ教室に通うトゥーリという少女。
彼女は数々のピアノコンクールで優勝している天才で努力家、ピアノ教室の優等生であった。
2人は切磋琢磨し合う、よきライバル関係であった。

しかしある日、ティフィーは祖母からピアノを辞めるように言われてしまう……。

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前の巻のようにめちゃくちゃしんどい状況ではなく、今度は前世を覚えている人たちの日常物語といった雰囲気。
割とマジで、1巻がしんどかった後なのでこのぐらいのふわっとした空気にかなりほっとしてしまった。いやあれもう一回やられたら辛いので……。
1巻のラストにも出た前世の記憶を持つ少年レイン、そして今回から新たに前世の記憶を持つ少女も追加。そして1巻のメインだったアーニャとジークの息子であるユキと、同級生夫婦の娘がメインめの物語。

とはいえ、今回もまた前世の記憶という下駄を履いても天才には勝てないって話なのがまた恐ろしいなと思ってしまった。

 

ピアノ教室に通う少女トゥーリは前世の記憶を持っている。

 聴力の多くが幼少の頃に出来上がる、というのは転生者にとって大きな利点があった。幼少期から自身のやりたいことを自覚し自発的に発言の出来る転生者は、幼少の訓練を自由に選べ、その効率を自覚し、そこに時間を費やすことが出来る。それは転生者にとっての大きなメリットであった。

ここまで理解して、意識的にピアノをやって自分の耳を形成しても、それでも本物の天才であるティフィーには勝てない。彼女のオリジナリティ溢れて、楽譜通りにはほとんど弾かないが人を惹きつける音楽にはたどり着けない。
前世の記憶があり、やるべきことをわかるというチートを利用しても、それでも本物の天才には勝てない。これは1巻のジークとも同じだけど。

でもトゥーリとティフィーは、ジークとアーニャとは違って同じ道を行かないという選択肢ではなく、同じ道を違うやり方で進むっていう選択ができて良かった。
そうだよね。芸術は本当に種類広いもんな。ティフィーのようなオリジナリティ溢れる弾き方も、トゥーリのような楽譜にかなり忠実かつトゥーリ(前世)がリアタイで聞いてた音楽の演奏方法を合わせるっていう、ぶつからないかつ両方が評価される方法がある。
二人が並び立ちながらそういう選択肢を取れるのは本当に良かった。

 

アーニャとジークは相変わらずの関係で良かったな。
ジークに絶対に負けたくないアーニャと、彼女に全力を尽くすジーク。

「……アーニャさんのことなんですが」
「ん?」
「……わざと負けてあげればいいんじゃないですか?」
(中略)
「それは違うだろうなぁ……」
「……そうですか?」
「あぁ、そうなんだ」

レインとの会話で思ったんだけど、もうそれってジークからの誠意だと思うんだよね。
ジークの性格と小器用さだったらおそらく負けるのだって可能だし、なんならアーニャに気づかれないような方法だってもうできるかもしれない。でもそれって二人の間では違うでしょ。自分の全力を尽くして、アーニャを倒して、アーニャは泣きながら悔しがって、ジークはお菓子でご機嫌を取って、最後はアーニャがジークを負かす。そこまでがもう二人の中で決まった流れなのかもしれない。

ジークとレインとトゥーリの前世の記憶持ち3人でおしゃべりしているところではアーニャも大人みたいな空気でちょくちょく口を挟んだりしていて、アーニャも大人になったなあ……なんて思ってたんだけど、このチェスで負けて大騒ぎするシーンがあってなんだかほっとした。アーニャは全然変わってないや。

 

前世を覚えているというチートと、更にはもともと天才というギフト持ちのレインがこの後どうなるのかな。いや残りのメンバーに振り回されて随分と大変そうですが……。

 

やーーーーほんと面白かったしさいこうだった。めちゃくちゃメンタルに来る1巻の後だとゆるーっとした連作短編形式のゆる話でも全然ほっとするしむしろ胃への優しさすら感じられる……。

 

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