
あらすじ
学園屈指の美少女たちが俺を巡って修羅場すぎる。
「俺修羅」裕時悠示推薦! 令和のシン・修羅場ラブコメ!!
「神原くん!」「先輩!」「佑真君!」
「「「私と一緒に帰ろ?」」」
俺、神原佑真はいま絶体絶命のピンチだ。原因は【姫ヶ咲学園総選挙】――上位6名に“姫の称号”が贈られる学園の人気投票。姫になれれば一躍人気者だが、俺の妹・彩音は惜しくも第7位。そこで彩音は考えた。姫に彼氏ができれば人気が低迷し、次の投票で自分が姫になれると。たしかに妹は姫と並ぶ可愛さだが――
「あたしを姫にしなさい」
前言撤回。妹に高校生活終了レベルの弱みを握られ、なぜか俺が姫を攻略するハメに。いや無理だろ(笑)
だが、いつの間にか姫たちと修羅場になっていて――どうしてこうなった!? 令和のシン・修羅場ラブコメ!!
主人公がルッキズムに支配されまくり、イケメン(概念)に勝手に敗北して「ただしイケメンに限る!」って思い込んでる話だった。一番イケメンに弱いのは主人公。
「イケメン」の概念に取り憑かれた主人公
妹に弱みを握られ、学園に6人存在する『姫』と呼ばれる存在の女子を誰か一人落として彼氏となり、その姫の評判を落として妹が姫になれるようにうまくやれ! と言われて渋々従う主人公の物語。
この作品で一番引っかかったのが、主人公の恐ろしいほど強烈なルッキズム。この主人公、「イケメン」という概念に勝手に敗北して勝手に女はイケメンが好き! になってて、大丈夫か?
俺にはわかる。
大抵の女はイケメン以外には塩対応だ。こっちが普通に話しかけているにもかかわらずそっけない対応をされてイラっとするのだ。特に挨拶とか顕著だ。明らかにイケメンと挨拶するときはテンションが高くなっていやがるからな。
この引用部分のように主人公の思考は露骨にルッキズムに支配されている。初恋の失敗も、自分が好きだった幼馴染の女子とイケメンが一緒にいるのを見て「やっぱりイケメンの勝ちか」と身を引くという形で、自分から何も行動を起こしていない。
しかも物語を読み進めていくとわかるんだけど、実は初恋の女の子を奪ったイケメンなんていなかったんだよね。彼女はただイケメン先輩に相談事を頼まれていただけ。主人公は動くこともなく、自分が動く前から「イケメンに負ける」という思い込みで判断を固めている。
結局のところ主人公が負けたイケメン男なんて存在しないのに、主人公は頑なに『イケメン最強』『世の中は見た目がすべて』『ただしイケメンに限る』つってるので、おめーが勝手に敗北感を覚えているだけなんだよなぁ……となってしまう。イケメンに弱いのはお前だ。
ところで、作中で最初に接触する姫である隣の席の女子は、過去に地味な女子であり、告白したイケメン男子に振られたために一種の復讐としていろんな男を落としまくる活動をしている。主人公もその毒牙に掛かりそうになったものの、彼女が人のいないところで調子に乗って独り言でべらべらと作戦を話してしまう悪癖があったおかげで作戦を知り、彼女に惚れるのを無事回避する、という流れがある。
妹に脅されて学園の姫を誰でもいいから落とそうとしている主人公って、やってることがこの子と同じなんだよな。外見さえ良ければ良いと思い込んでいる価値観だとか、自分の目的のために他人の感情を弄して自分は好きでもない相手を自分に惚れさせようとしているところだとか。
最初にこの女子を落とそうとするところから始まるので意図的にルッキズムの話をしていくのかと思いきや全くそんなことなかったので、どこまでこの強烈なルッキズムが意図的なものかわからなくなった。
複数モテ展開ではあるが、展開的には面白い
6人の姫のうち4人が主人公に惚れており、2人は惚れていない。その惚れていない2人としては主人公が自分の大事な人(妹、好きな女子)以外とくっついてほしい。そのため惚れている女子の1人が自分と主人公がくっつくように協力してほしいと頼む。
この速攻で協力体制を整えていくスタイルは、多角関係モノとしては面白かった。
ただ前述の主人公の圧倒的ルッキズムでイカれてるところを見ると、続刊読むかどうかは迷うところ。
