「大親友が女の子だと思春期に困る ようこそ1000分の1秒の世界へ!」競技かるた部分だけでも読んでほしい熱さ

★★★☆☆,MF文庫J学園,幼馴染,恋愛,戦闘,片思い,現代

あらすじ

小学生の頃から全然変わらない親友(女子)――って変わらなすぎだろ!

臣守奏治と巴桃亜は、性別を超えた大親友だ。共通点だった“競技かるた”を通じて仲良くなった幼き日の二人は、いつでもどこでも一緒にいた。だが小学四年生の終わりに、二人は離ればなれになり――五年越しに高校で再会。そんな奏治の前に現れたのは、外見はすっかり女の子らしくなったのに、中身はあの頃と何も変わらず、当時とまったく同じようにベタベタしてくる桃亜だった! プロレスごっこだの連れションだの、さすがに思春期の男女がやることじゃない! でも……桃亜と一緒にかるたをできるのは、素直に嬉しかった。
――異性の大親友にドキドキさせられっぱなしの思春期競技かるたラブコメ、ここに爆誕!

自分の体が成長しているのに気付かず小学生のときのままベタベタしてくる巨乳幼馴染モノ。という部分がメインとしているんだけど、中盤~終盤に出てくる競技かるた部分がめっちゃ熱い。てっきりその中盤になるまでは舞台装置扱い程度なのかなと思ってたのに、競技かるたが物語のメインになってから、一気に熱い物語になった。
ヒロインという化け物みたいな天才とばかりずっと戦ってきたからこそ自分の強さを全く理解していなかった主人公。しかもメンタル的に弱いから、揺さぶられていると格下相手にも簡単に遅れをとってしまう。ヒロインと戦っても全力を尽くしても3枚しか札を取れなかった主人公という描写が、途中で公式大会では相手に1枚も札を取らせたことがないヒロインから3枚も札を取れるだけの強い人間であるとわかった瞬間にぐっと物語がひっくり返った。
メンタル面や体力面が弱いというのも今までヒロインとのやり取りでわかっていたからこそ、終盤の大会のシーンではこうなるなーではあるし、そこからのヒロインの声で奮起して一気に本気を出して戦い出すの、もうめっちゃ熱かったし格好良かった! そして主人公が相手からバンバン札をとることで、主人公の格が上がると同時にヒロインもクソやべー強さしてんな!?というのがわかるのが面白すぎた。

ただそれ以外の描写が全体的にうーん……すぎるんだよ。
わたしは競技かるたは全然まともにやったことないけど、大会でこんな大声出して良いもんなの?と読みながらまっさきに思ってしまった。読み手のブレス音で札を取ることが出来る、そういう読みあいが出来る人が強いという描写が前半にあったからこそ、そのブレス音をかき消すようなどでかい声で応援し続けるのは有りなのか? 大会的に大丈夫なの? と何度も首を傾げてしまった。
その大声の歓声で主人公が揺らいだりメンタルダメージ喰らい札が取れなかったり、ヒロインのでけえ声援で主人公が札を取れるようになったりというシーンがあるために大事な部分とは理解しているんだけど、だとしてもこういう大会でそんな大音響の声を出していいのか?

ラブコメとしても微妙だった。
主人公にヒロインの肉体や距離感を意識させるための舞台装置とはわかっているんだけど、漫画家志望で主人公とヒロインのイチャイチャが見たいがために入部しました!という同級生があまりにうざい。そこから競技かるたにどんどん本気になっていくのかといえばそんなことはなく、その後の合宿でもすぐばててるし、あんまり本気感がない。ただ賑やかしとお前らの距離感おかしいんだがというためだけにいる装置過ぎた。主人公とヒロイン自身はそういう関係ではないと否定しているのに話も聞かない。もうちょい取材対象の発言を頭にいれろ。
ヒロインの行動もなんだかな。他の男子にはあたりが強い巨乳の女の子が、自分にだけ無防備に迫ってくる!というのは美味しい展開なのはわかるんだけど、頭の中身が完全に小学生でストップしていて行動自体が完全に痴女レベルなのはきつい。シャツのなかに主人公の頭を入れて乳が後頭部にぶつかるってそれ小学生でも低学年じゃないのかな……。痴女だよ。他の男子に対しては「男なんて嫌いだ!」ぐらいの発言をし続けているのに、対主人公だけ頭がバカだった。

競技かるた部分はものすごく熱くてよかったんだけど、それ以外の部分が合わなかった。でも本当に競技かるた部分が熱くて最高だったので、そこだけでも読んでほしい。本当にそこは最高だった。

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