「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)」ゆきた 志旗

「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)」ゆきた 志旗★★★☆☆

あらすじ

物心ついた頃から“ブス”だったわたし。子供の頃に見た結婚式に憧れて、自分は無理でもせめてそれを演出する人になろうと、ウェディングプランナーになった。

様々なお客様が人生の門出を祝おうとホテルを訪れる。
そんなわたしが、やり手で絶世の美男子の久世課長に求婚された!?

「香澄さん、ずっと探していました。あなたのような…絶世のブスを」
「はぁ!?(怒)」

絶世の美男子は人の心が足りてないブス専

「……じゃあ、その……久世、課長、は、わ……わたしのこと、か、か……っ、かわいいってっ、思っ、て、くれてるんです、か……」
こんなわたしの顔でも。可愛いと言ってくれる、あなたが運命の人ですか?
恥ずかしさにギュッと目を瞑る。頬が熱い。リンゴみたいに真っ赤になっているはずだ。
恐る恐る瞼を開け、上目遣いで課長を窺うと、彼はちょっぴり困ったようにはにかんで、そして言った。
「何言ってるんですか? 香澄さんは、ブスですよ?」

マジでこの男、早めに殴り倒したほうがいいと思うの。
これ、自分がブスだと学生時代から呪いを受け続けて、それを受け入れてしまっている主人公だからかろうじて地の文で何だこの人(ドン引き)程度で済んでいるけれど、普通の人間だったら拳構えて突撃してもおかしくないし、ここからはじまった彼ががゴキブリを尊いと思う流れから主人公への告白の流れ全部含めてマジで殴り倒したほうがいい。

事前に課長は人の心が足りてねえというのは描写されているものの、ここからはじまるブスブスブスブス。いや人の心ある? 人間がブスって言われたら喜ばないって理解してる? 大丈夫かこの人? 読みながら不安になってきたんだけど人の心ある? ないな。
読んでいて、主人公はかなり軽く流したりスルーしたり無視したりしているけれども、他人から見たら相当ひっっっっっどいことを言っているぞ……とドン引きしてしまった。
ふとっているからやだらしないからとかではなく本当にブスだと言ってくる相手、マジで音声録音した上で上のほうに相談したほうがいいと思う。体型とか生活習慣とかでは変えようのない、整形しても絶対にブスとかまで言ってくるやつ、早めになんとかしたほうがいい。
小説に対してこういう感情持ちたくないしこういう話したくないんだけど本当にこれはひどすぎる。

この巻のラストで主人公は別の男性に心惹かれる。絶対にそっちとくっついたほうが良かったよ! 間違いなくそっちのほうが幸せになれたよ、こんな性格最悪の内面ブスと一緒にならないほうがいいよ!? 人の心無いよ!?

というドン引き存在の課長はおいといて、お仕事小説としては面白かった。

主人公は数年目のウェディングプランナー。普段の仕事ぶりを見ていても、お客様にために一体何が出来るか? と考えて結婚式というものを作っている人だなと感じられて、こんな人に結婚式の準備してもらえたら本当に良いだろうなと思えた。相手はいませんが!

最初の話で、とある新婦が美人のウェディングプランナーからブサカワ系プランナーへの担当変更を頼んだ。
理由を悟ったブサカワ系プランナーは傷つく。自分が美人じゃないから選ばれたんだ、それはお前は私よりブスだって言っているのと同じことじゃないか。会社でぶすと言われても今まで笑っていたけれども、傷つかないわけじゃなかったんだ。そう嘆く彼女へ、主人公は伝える。

「でも、花岡ちゃんは新婦さまの気持ち、わかってる?」
「え……?」
「担当のプランナーが美人で花嫁の自分が霞むから替えて欲しい、なんて頼んだ新婦さまのお気持ち……花岡ちゃんは、ちゃんとわかってるの?」

ここ読んだ瞬間にうわーーー! えっぐい!!! えっぐいけど!!!! となってしまった。
結婚式は誰にとってもたいていは一生に一度のこと、だったら新婦としては自分が主役になりたいのなんて当然だ。その横に自分より自分がいたらそりゃしんどい。でも、だから変更してくれって伝えるのももっとしんどい。だってそれは、ブサカワ系プランナーが嘆いたのと同じ、私はあなたよりブスだからと言うのと同じだ。
読んでいて本当にこのあたりしんどかった。
そして、それを理解していながら、自分の職だと受け入れる主人公が本当さ~~~~良い子だし強いし熱いしうつくしいんだよ……。

サプライズプロポーズの話もものすごく好き。誰しも美しくなければ結婚してはいけないというわけではないし、美しいから愛されるわけでもない。
いや、主人公と課長の関係もそうなんだけど、そうなんだけど課長があんまりにもブスブスブス言うし、本人もブスは社会的に見て欲されるものではないと理解していながら言っているっていうのがわかって本当にだめなんだけど、それはおいといてサプライズプロポーズの話はうつくしかった。

課長と主人公の関係は、現実が見えてますよ! 見えてる上で好きなんですよ! なのかもしんないけど、だからとしてもブスブス言うのはあかんでしょ。
そこんとこさえ除けば本当に良いお仕事小説でした。

読書メーターを見ていたら気付いたんだけれども、これ映画化してたのか。とあらすじをみたら原作とちょっと違っていた。
原作では徹底してイラストに主人公の顔を載せていないのでそんな感じなんかな? と思ったら普通に顔が出ていた。

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