
あらすじ
好きって言える子、増殖中!? ここからが戦いの本番だ!
想いを寄せる和泉へ一歩を踏み出した雨音の抜け駆けで、ヒロインレースの勢力図は大きく変化! 対抗すべく元許嫁のお嬢様・白菊白亜は実家から助っ人を召喚する。やってきたのは白菊家を支える秘書長の愛娘・明星明那! 「叡智なる頭脳」を持つ彼女へ和泉の懐柔を命じ、白亜の勝利は確実と思われた。しかし明那は――「え? 嫌ですよ?」「ウチ、和泉様のこと昔から好きですし~」 お嬢様を裏切る気満々だったのである!! 新勢力の参戦、もちろん手を緩めない元祖『ちゃんと好きって言える子』七瀬七緒。体育祭を前にして、いよいよ加速するヒロインレースの行方は!? 白亜姉さんは、ちゃんと好きって言えるかな?
策士策に溺れるは最高に楽しいんだよなぁ……!
前の巻は、主人公と自分たちは思いが通じている告白していないだけの両片思いだと思っていたヒロインたち×3の前に、ちゃんと「好き!」と言える転校生・七緒が現れる。ヒロインレースで一気にトップへ躍り出る七緒! 好きと言えないせいで恋愛対象として認識されずヒロインレースから正しく脱落していく負けヒロインたち! という状況。
今回の巻は、そんな負けヒロインのなかで元許嫁のお姉ちゃんであり生徒会長ヒロイン・白亜がメインの巻。
七緒の存在に危機感を持つも自分から好きと言えないヒロインたちが頑張るお話ではあるんだけれども、前の巻の好きな部分が無くなっちゃったなと。
とはいえ、今までは全く持ってろくに主人公に好意を伝えることなど考えなかった白亜が策を弄して手段を問わず主人公を手に入れようとするのは良かったし、その結果主人公からの信頼を完全に失ってしまうのは策士策に溺れるすぎて手を叩いて喜んでしまった。
やっぱね、策士は自分の立てた策に足を引っ掛けてすっ転んでバキバキにされてほしいですよぉ! 特に白亜の場合は主人公の信頼を損ねる行動をし、なおかつ一応言い訳して納得してもらえる理由を持っているにも関わらず、それを伝えたら結果的に自分の恋心も伝えてしまうことになるからと言えない。自らの恋の保身のために信頼を失うというパターンなので、熱い。
大事なもののために他の大事なものを失うのは最高に熱い。こういう展開、大好き。こんなの大喜びしちゃう。
そして最終的に、どこまでもみっともなく無様に、それでも告白出来た白亜のカタルシスは大きかった。今まで堪えていたものがわかるからこそね。氷の生徒会長という外面も何もかも捨てて無様に情けなく、それでも告白するの、それだけの必死さが見えてニクい。
コンセプト勘違いしてたので2巻の内容自体には乗り切れなかった
前の巻で好きだったのは、今まで自分から好意を告げていないにも関わらず両思いだと思い込み相手からの告白を待つぐらいしかしていない現状に掻いている子が、ちゃんと好きって言えるヒロインに無双されるという、コンセプト的な部分だった。
ここのブログの感想何本か読むとわかりやすいんだけど、好意を持ってるくせに相手からの告白待ちで鼻歌歌ってるような子が嫌いで……。しかもそれで相手の周囲に異性が現れたら「私のなのに!」とばかりに嫉妬かましてくる子が本当に「てめえが動けや」になりがちで……。
ちゃんと好きって言える七緒が、付き合いの長さも全部ひっくり返して好意を告げるという一手で意識されてメインヒロインに躍り出てたった一人の意識される女の子になるという物語の形が好きだった。
だからこそ、「ちゃんと好きって言える子」が増えたことによりヒロインレースのハーレムものになるのは……ちょっと……そうじゃないんだよなあ……!
因果応報というか、自分の行動に結果が伴うわけですよ。ただ王子様を待ってるだけじゃ自分のところに辿り着いてくれない。待ってるだけじゃダメで自分から行動する勇気が必要。それを怠ったお姫様たちが呆然とするのが好きであって、今更行動しヒロインレースになるのが見たかったわけじゃねえんだよ! どうせだったら七緒に無双してほしかった。
とはいえ、今回の巻もちゃんと好きって言える子が無双……無双はしてないかなあ、もう……。双つと並ぶもの無しってわけじゃないし……。うーん……。
しかしよくよく考えてみると、1巻でどう考えても七緒が無双している状況で雨音が頑張って告白っぽくすることでヒロインレースにあがったりしていたし、この物語自体が告白できないヒロインたちが告白できるようになるまでの物語なのかな。
だとすると、このあとツンデレ後輩も終盤に登場した主人公妹の働きかけで告白できるようになるのかも。
わたしは1対1ラブコメが大好きなのでマジでまぁそっち方面だったら最初に言ってくれよではありますが、七緒という負けヒロインたちが告白するための舞台装置の発生で彼女たちが勇気を出して変わっていくというのは熱い。
熱いのはそうなんだけど好みじゃないんだよなあ! これぞ最近ツイッター(自称X)で話題になっていた私には合わなかった小説だよな。熱いのもわかる、カタルシスとして大きいのもわかる、でもわたしには合わないんだよ、そのネタは!!
