戦隊モノの、敵雑魚下っ端の物語「VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)シリーズ」和泉 弐式

★★★★★

あらすじ

俺は21号。悪の組織の下っ端戦闘員だ。
キーって叫びながら、変身ヒーローにアッサリ倒されちゃう、全身黒タイツのアレだよ、アレ。キー! 
毎度毎度、新たな怪人とともに懲りもせずにヒーローに挑み、敗北ばかりの日々。よくみんな飽きねぇな。
さあ今日も、正義の味方にコテンパンにやられてくるか……。 

怪人ですら敵わない無敵のヒーローに挑む、雑魚戦闘員の熱血ストーリー!

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戦隊モノの、敵雑魚下っ端の物語

日曜朝九時(今は八時じゃない)から放送の、みんな大好きニチアサシリーズ。
その中でもライダーじゃなく戦隊モノと呼ばれるシリーズがある。歴史は古く、ゴレンジャーから早数十年、良い年数やっているアレだ。そのためたいていの人はだいたいどんなものか知っている。

その戦隊モノには毎回敵組織が出てくる。オルグとか妖怪軍団とかギャングラーとかのアレだ。敵組織には毎回TV番組公式サイトで一体ずつ個別紹介してもらえる怪人たちがいて、怪人たちは下っ端戦闘員を連れて出てくる。ゴーレム兵やナナシ連中、ドルン兵たちだ。
私達は、怪人たちの名前を知っていても、下っ端雑魚戦闘員たちの名前は知らない。ヤツデンワニやジェラシットはわかっても、その横で戦っている彼らの名前は知ることもないし、見分けもつかない。

その、見分けもつかない戦闘員のうちの一人、21号視点の物語だ。

本当にめっちゃ面白かったー! すっごく良い現代バトルファンタジー。
特撮が好きで戦隊モノもよく見るからこそ、この戦闘員の立場っていうの超面白かった!

実際戦闘員個個の見分けなんてよっぽど目立つ動きをするアクターさんが入ってないとつかないし、彼らなんて十把一絡げ、ヒーローたちが格好良く見せるための前座としてしか見てなかった。
でも彼らにだってこういった日常生活や一生があるんだな……。

ヒーローは強い。ヒーローは勝つものなんだから当然だ。そんなめちゃくちゃに強い奴らとの戦いなんて無理だと最初から諦めきっていた主人公が、戦いたくない怪人「ジャバウォック」との出会いによって、なぜ自分は戦いたくないか、生きていたいか、そしてどうしたいのかと考えていく流れが秀逸。
言われてみりゃ私も戦隊モノを見るときに、戦闘員なんて負けて当然見せ場を作るだけのものって見てたもんな。それが一気に覆された気分。

ヒーローにどうしても勝ちたいという理由を得た主人公が、いかにして勝利するか、ただ弱い自分たちだけじゃ普通にしたら勝てないんだから知恵を絞らないと行けないが、そのためにはどうしたらいいかとあがく流れはあまりに最高。
どこか厭世的ですらあった主人公が、前向きになり、がむしゃらになる流れって王道だけどやっぱ良い。

物語のあらすじ自体は、3巻通してすごく王道だ。
あまりにも強い敵と戦い、勝とうとあがく主人公。
そんなどこまでも王道の物語がめちゃくちゃ鮮やかに泥臭く得がれていた。

ヒロインたちも可愛かったなー! 私は敵ヒーロー(という言葉も若干おかしいけれど)とのやり取りがすごく好き。
主人公である21は、他人に恋愛感情というものをほぼ全く抱かない。人と距離をおいて生きている雰囲気すらある。だからこそ安心して見ていられたと言うか。
あと、個人的に特撮の正体ばれが非常に好きなので、それも含めて敵ヒーローと21号のやり取りはドキドキしながら楽しく読めた。仮面ライダーキバで渡の正体ばれは本当にドキドキしたものです。

3巻のあとがきにあるように、主人公は1巻ではヒーローたちに勝てていない。やり込めてはいるが、完全勝利は出来なかった。それがヒーロー物というもののお約束だ。
だからこそ、3巻のやり取りやそこでの勝利が本当に熱かった。

いやー本当に良い特撮ラノベだった……。

めっちゃ面白いと思ってたけど、前に読んだセブンスサーガの人だったんだね。こっちも今度読み返そう。

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