「ミュージカルLUPIN」とにかく古川雄大の魅せる幅広さを見ろ！！
キャスト
アルセーヌ・ルパン：古川雄大
クラリス・デティーグ：真彩希帆
ボーマニャン(Wキャスト)：黒羽麻璃央(東京公演のみ)／立石俊樹
イジドール・ボートルレ：加藤清史郎
ガニマール警部：勝矢
シャーロック・ホームズ：小西遼生
カリオストロ伯爵夫人(Wキャスト)：柚希礼音(東京・名古屋・大阪・福岡公演のみ)／真風涼帆
他
見てきた人
- 小西遼生さん目当て
- 帝劇初めて
- ルパン対ホームズあたりは読んだことがある……と思ってたけどウィキ見たら読んだのとはあらすじが違ったので多分ないわこれ
- ホームズ物は半分ぐらいは読んでる
- 小池さんミュージカルはあんまり見たことがない
感想
全体
すげえ！！ 古川雄大めちゃ格好いいだろステージ！！！
見てる最中スゴすぎて変な笑い出てきたし、ここまで振り切ってると文句も何も出てきようがない。すごい。古川雄大は格好いい。今日はそれを覚えて帰ってください。
物語自体は詳しく考えていくとガバなところも多め。枝集めたあとの宝の在処特定方法で思わずツッコミを入れてしまったり、女装潜入あたりでそううまくいくか！とツッコミを入れてしまったり。でもそういうのって全部野暮なんだよ。古川雄大格好いい。それがわかれば大丈夫。
物語としてはかなり王道というかおもしろいねー笑えるね～なんだけど、とにかく『古川雄大の格好いいところを見ろ！！』なので、それに乗れるかどうかだなというのはすごく思った。わたしは乗れた。
突然ピカピカと電飾が光る蝶ネクタイ型のゴンドラに乗ったルパンが2階の高さまで上がってきて歌うという演出で楽しめますか？ これを楽しめる人なら楽しめる。女性しか入れない場所に行くためにごついでかい女装をして挑みカンカンを踊るルパンを楽しめますか？ これが楽しめるなら全然行ける。
また、出てるキャストが歌がうまいために、全体的に「ミュージカルだし、歌がうまいからいっか……」と納得させてくる。力技だ！ この力技加減のせいで、わたしのなかではフランケンシュタインと北斗の拳と同じカテゴリになった。あれも物語は色々突っ込みたいんだけど（どうしてアンリがビクターと協力するようになったのかよくわからないまま気付いたら握手している）（何度も決着がつかないラオウ）、歌がうまいので全部オッケーです！となる。ずるい。すごい。
ミュージカル、それがすごいよね。物語としてのツッコミどころはいくらでもあるのに、歌の旨さと生オケがあればその迫力で全部力づくで納得させてくる。
ただ、歌自体はあまり好みの歌じゃなかった。
ファーストデートのときにも書いたんだけど、わたしは感情を歌い上げたりなどして物語がそこで一時停止する歌があんまり好きじゃない。会話を歌にするのは好き。あとはシャーロック2の推理を歌い上げるやつはめっちゃ刺さった。あれは歌いながら説明という会話をしているので。スリルミーで言うとそんなことで騒ぐな/僕の眼鏡は好きで、火の粉弾けるのはそこまで好きじゃないです。わかりづらいなこれ。
LUPINでは今自分は何を思っているかの歌が多く、また最中に物語が一時停止するのが多いため、歌自体は好きじゃなかった。
でも歌がうまいのでオールオッケー！ 最高！ としてくるので強かった。歌で全部を薙ぎ払うな。
ただ、チケット代はさすがに高いなとは感じてしまった。
S席平日1万6千円、土日1万7千円。たけえわ。この値段は気軽にぽんと出すにはでかすぎる。舞台の内容はエンタメとして面白くこまけぇこたぁではあるけれども歌もダンスもあって勢いがあるのに、この値段は尻込みする。
しかもS席って1階前方19列、2階前方5列（その前にXAとXBがあるから実質7列？）までじゃん。1万7千円出して1階19列になったら流石に辛すぎる。そのぐらいなら自ら選んでB席平日5000円2階後方5列のほうがまだましとすら思えた。
いやほんとたっっけえな。チケ代値上がりやばすぎて、見たい舞台も厳選しなきゃならないのが悲しい。チケ代上がってもわたしの給料は上がらんので。
キャラについて
書き留めておきたい人を主に
ルパン
よっ色男！ マント翻すのも、剣を使ったアクションも生身のアクションも、エレクトリカルゴンドラも、傷ついて血まみれで倒れ伏すのも女口説くのも全部が全部めちゃくちゃ格好いいからずるい。お前が最強。
偽ルパンにクラリスがさらわれたあたりですでに、偽ルパンへの対抗心とかよりもクラリス奪取のほうが目的となってるあたり、完全に彼女に惚れていて可愛かった。誰にでも優しい心清らかな少女に恋をする怪盗紳士、めっちゃいいじゃん。ベタだけど可愛い。
好きなシーンは女装とその後。
女装、いくら顔がきれいでも骨格というか輪郭はやっぱり男性だな。とはいえそれでも動いたりなにしたりあれしたりで可愛かった。歌を低音はルパン、高音をクラリスが歌ってめっちゃ声出る人詐欺してるの笑ってしまった。そういうの好きすぎる。
その後のシーンで、ようやく集まった枝7本を持ってこれから伯爵夫人と謎解きだ！としているところ、今までの格好良くて色気があって大人っていう雰囲気が消え去り、宝探しする子供みたいな雰囲気になったのがすごく魅力的だった。普段は格好いい大人が不意に見せる子供っぽさなんて誰でも刺さるじゃん……。
ホームズ
正直なところ、ルパン物なのでホームズがもっと酷い有様になるかと思いきや、格好良かったり事件をすべて解決したりはしないものの、コミカルでキュートで可愛いホームズでめっちゃ良かった。
わたし自身幼い頃に読んだ緋色の研究がミステリーへの入り口だったため、ホームズが負けるの自体割と無理というか、名探偵が事件を解決できないというのが嫌ですねという人なので、ルパンとはそもそも終盤は対立自体しない、完全に女の尻を追いかける方向になったの、ルパン対ホームズという部分ではすごく良かった。良かったというか安心した。
少なくともメインがルパンな時点でホームズの勝利っていうのはありえないんだよね。良くて痛み分け……いや痛み分けもないな、主人公はルパンなので。はちゃめちゃに痛めつけられて雑な当て馬になるかもしれん……ぐらいまでは覚悟してた。
でも、1幕はホームズ登場満を持して！からの、2幕でコミカルに舵を切ってイジドールとわいわいしたり伯爵夫人を完全に私情から追いかけ続けたりで可愛かった。ルパンとの戦い自体を行わないことでホームズの格が下がらないというのはうまい。
アクションも、終盤に剣を使った殺陣があって格好良かった。
イジドールとのコンビが可愛らしかったからこのままもっと見たかったな。あの子面倒見良いしなんだかんだでワトソンの弟子にもなってくれそうだよ。
イジドール
加藤清史郎くん生で見るの初めて。うわーーーこれめっちゃ将来が楽しみだな！？
正直に言うとイジドール、出てきたときに天才高校生探偵の扱いなので、思わず工藤新一を連想した。でもそういう方向じゃなくて、コミカルに状況説明をし、パリの人じゃなくて土地勘がなかったりルパンについての情報に乏しいホームズに説明と先導を行いと、物語上ですごく重要な役割してた。
歌も無茶苦茶な姿勢になったり（持ち上げられてスーパーマンポーズ）しても声が伸びててすごい聞いてて楽しかった。
ボーマニャン
黒尽くめで、紳士に見せかけ実はクズのゲス野郎、他人を脅すのに躊躇もないし金で利用し恐怖で締め付ける、鴉と呼ばれる黒服の部下を飼っている、いやもうすべてにおいて百点満点。悪役紳士として百点満点。
見たのは黒羽麻璃央さん回。ルパンとの殺陣も速くて迫力あってすごい格好良かった。冒頭の雰囲気良い青年実業家っぽさからのどんどん悪さを出していき、最後はこいつが死ねばだいたいハッピー！まで持ち込むのすげえわ。
ただ彼がどうしてクラリスにそこまで執着すんのか正直そこまで良くわかんなかった。別に惚れてなくてほしいだけだし。いや、ほしいものが手に入らないのが嫌というのはわかるんだけど、最初に彼女を手に入れようとした理由がわからん。
カリオストロ伯爵夫人
真風さん回。
落ちがすげーーーーーーーー好きだわこの人。結局そういう落ちなかーーーーーーーい！！！すぎる。笑った。お前が全部総取りだよ！！！！！！！
実は120年生きている化物でもなければ、3代だか4代だか続いてる魔性の女でもない。ただジョゼフィーヌという魔性の一族に顔がめっちゃよく似たただの舞台役者がルパンと同等に渡り合いホームズを手玉に取り勝ち逃げをしたっていうのもうめっちゃ夢あるし手ぇ叩いて笑いそうになっちゃった。要素詰め込みすぎだし良いとこ取りすぎるとは思うけれども、落ちとしては確かに本当に魔性の一族とかよりずっと良いわ。
結局この人レオナールとはどういう関係なんですかねえ……。
ボーマニャンと10年前に愛人関係だったらしいが、ボーマニャン、愛人が年取ったかぐらいちゃんと認識しろ。ただの人間だから流石に老けてるだろうよ。
ただ、女性だから仕方ないとはいえ、アクションが遅いのがうーん……となってしまった。ルパンその他の面々がみんな早いなか、ルパンと見紛うような偽ルパンの殺陣が遅いの、どうにも……。そこどうにかならなかったのかな。そのぐらいなら殺陣ないほうがまだ格が保ててよかった。
