
「ネメシスの使者」果たして死刑は必要なのかを問う(ように見せかける)のがうまい
冤罪からの死刑の「テミスの剣」、死刑回避からの事件の「ネメシスの死者」 テミスの剣の渡瀬刑事を主人公格に置かれた物語。続き物かと言われると完全に別物語であるが、中山七里作品自体がスターシステムなので、岬刑事の息子の話が出てくる程度には渡瀬刑事の過去話も出てくる。 テミスの剣が『死刑という判決は正しいのか?もし犯人が実は冤罪だったら?』という物語であるのに対して、今回は『果たして死刑回避で無期懲役という判決は正しいのか?人を殺した犯人がのうのうと生きていて良いのか?』という物語。冤罪事件で死刑判決を勝ち得てしまった渡瀬刑事だからこそこの物語の主役に据えられるのがまさに正…