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「棘の家」転がり転げて地獄へ一直線

★★★★☆

面白かった。 中山七里の小説ってラストのどんでん返しがデカく襲いかかるタイプの物語なのかなと思っていたし、実際この小説も『どんでん返しの帝王が~』という文章がアマゾンの紹介にあったからそういった類の物語なのかなと想像していたら全然違った。むしろ家族の裏の顔や、人間の感情を動かすタイプの物語だった。 無責任かつ簡単に掌返しする一般的な人間として出てきたネットの人々やマスコミの存在が面白かった。主人…

「夜がどれほど暗くても」犯罪加害者を記事にしていた週刊雑誌副編集長、犯罪加害者遺族となる

★★★★☆

最近読んでる中山七里のノンシリーズ物(おそらく)。   犯罪系のネタや芸能人のスキャンダルをネタにしていた雑誌の副編集長が、自分の息子が殺人事件の加害者なおかつ死亡したことにより、本来は加害者に向くはずだったヘイトや取材なども全て向けられることとなる、という逆転構造のえぐさがめっちゃいい。 自分がやっていた立場だからこそカメラを向けてくるマスコミ連中がどういう意図でどういう絵面…

「次回作にご期待下さい」漫画編集部のドタバタミステリー

★★★★★

面白かったー。漫画編集部を題材にしたお話で、ちょっとしたミステリーというか謎解き風味。いやほんと面白かった。 ギャグ漫画家なのにものすっごい後ろ向きな漫画家に打ち切りを伝えるエピソードは読んでてああああ……と。実際編集者って悪者にされがちだし、最近ガガガ文庫あたりだと顕著に編集者がツイッターアカウント作っているけれど、そうでもなければこういうことがありましたって発信出来ないものね。で、後ろ向きな…

「准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る」

★★★☆☆

今回も連作短編集3作。えーーー、面白かった。主人公が嘘が聞き分けられなくなる話が好き。 嘘がわかる自分の耳を疎い、そのせいで孤独を選んだ青年が、いざ嘘がわからなくなったら困惑してしまい混乱してしまうのすっごい良かった。そりゃあね。今までどれだけ嫌がっていたとしても自分の通常能力だもんな。たとえば普通の人の腕が一本なくなったらうまく腕が動かなくて困るように、今まで自分にあったものがなくなったら不便…

「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」身近な『怪異』探る、あやかし無し男性バディ物

★★★☆☆

これはあやかしものじゃない! これはあやかしものじゃないです!!!! あやかし事件解決物が苦手なので避けてたけど読んでみたらあやかしではなく民俗学だった。人の嘘がわかる青年が怪異大好き准教授の手伝いで、准教授のサイトに寄せられた怪異と思われる事件の相談に乗る連作短編集。 こういう大学の授業受けられたらいいなーと思いながら読んでた。都市伝説や民俗学をメインに、生徒側も楽しめるような授業をしてくれる…

「小説 BATTLE OF TOKYO vol.1」近未来SFモノ、もしくは原作ってなんなんだろう

★★★☆☆

なんでもコピーできる時代となった近未来の東京で、コピーできない指輪が盗まれた。被害者である少女はネットで検索したとある探偵事務所に足を運び二人組の探偵に捜索を依頼する――というところから始まる物語。からの、半ば崩壊したトウキョウに存在する特殊なスキルを持つ若者たち4チームの物語。まだまだ顔見せと世界観見せ程度で物語は進んでないので、2巻以降どうなるかの様子見。元ネタの人数が多いものの出てくるキャ…

「異世界の沙汰は社畜次第 聖女召喚改善計画」主人公の『大人』としての距離感が好き 

★★★★☆

一種のこちらの技術で俺TSUEEEEEEEEEEではあるんだけれど、スキルが経理と社畜というのがなんともまあ。そして異世界に来て一番喜んでる内容がヒロ○ンならぬ完全に疲労が抜けるお薬というのもまたなんとも。筋肉痛が翌日出ればましなほうと思っているあたりが非常になんとも……なんとも言えねえ……! 主人公の書類処理能力や経理の能力はかなり高そうなんだけれど、作中でほとんどの人からはその能力を買われな…

柳生剣法帖 ふたり十兵衛 (角川文庫) 谷津矢車

★★★☆☆

こんな人におすすめ さらっと読める時代物が読みたい人バトルアクションが読みたい人自分の足りないものを補い合うコンビが読みたい人 剣を握れない柳生十兵衛と、その剣となる速水一兵衛 設定がとにかく面白かったー! 柳生とか風魔あたりは全然触ってないので事前知識なしだったのだけれども面白かった。 主人公は柳生の剣士である速水一兵衛。彼は柳生の長男だが剣を持たず日がな一日読書三昧の男・柳生十兵衛に仕えてい…

弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 阿部 智里

★★★★☆

5-6巻の対比 1-2巻が対比していたのと同じく、今度は5巻との対比の物語だ。 前巻は玉依姫である志帆側から見た物語であり、八咫烏たちはどうしているのかわからない。1巻が桜宮にいた姫たちの物語であり、若宮がどうしていたかわからないように。その八咫烏の視点を描いた話となる。ある意味、この5-6巻自体が1-2巻と対になる形。と考えれば第一部のきれいな終わりとも見える。 志帆側から見ていた際に、思わず…

玉依姫 八咫烏シリーズ 5 阿部 智里

★★★★☆

こんな人におすすめ 疑似親子萌えな人 舞台はファンタジーから現代(1995年)へ このブログ、異世界をファンタジー、こちらの世界をざっくりと現代、古めのものは歴史ものと表現しているので、25年前が舞台の場合現代と表記して良いのかどうなのかちょっと迷うな。しかもファンタジーのシリーズの1巻だけの場合特に。 物語の舞台は1995年、人間の世界。女子高生の志帆は、祖母の故郷である村を訪れる。祖母がなぜ…

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 阿部 智里

★★★★☆

こんな人におすすめ 学園モノが好きな人男子高校生の青春!みたいな乗りが読みたい人しっぺ返しを食らうスネイプ先生みたいなのが見たい人 学園編が始まったぞ!!!! まさかこのシリーズで学園モノが始まるとは思わなかった。いやマジで。 雪哉が入ったのは、若宮ら王族の護衛候補生を育てるための学園。しかし、そこでは派閥ごとの対立や権力争いが存在していた。同室の相手である茂丸や、同じく若宮派である明留らと少し…

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫) 阿部 智里

★★★★☆

現れた敵、猿 後宮では女達がバトり、王宮では男たちがバトる世界で、とうとう別の敵が現れた。その名も猿。猿と呼ばれるなにかではなく、マジモンの猿。八咫烏たちと同じく人の姿を取り烏たちのなかに紛れ込む猿たち。かろうじて見分ける方法はあるものの、それも確実とは言えない。そして、現れた場所は、雪哉の実家がある垂氷。調査のため現れた若宮とともに、果たして雪哉は猿を追い払い実家に平和をもたらせるのか――とい…